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開発秘話

2023/10/31

子どもたちを水痘から守る 切実な思いから生まれた世界初ワクチン

画像:帯状疱疹・水痘―予防時代の診療戦略

水痘(みずぼうそう)ワクチンは、BIKENが世界で最初に開発しました。

開発者の高橋理明博士(1928~2013年)は、米国留学中の1964年、当時3歳の息子が水痘を発症し、全身に水疱が広がって苦しむ様子を目の当たりにしました。全身に水疱が広がって高熱が3日間続いたものの、当時は対処療法しかなく、妻とともに昼夜を見守ることしかできませんでした。軽い病気と考えられていた水痘が重症化する場合もあることを痛感し、何とか予防できないかという思いが、後の水痘ワクチン開発につながりました。

取り扱いの難しい水痘帯状疱疹ウイルスでしたが、1971年に水痘患者(岡という姓)の水疱液からのウイルス分離に成功し、岡株と名付けられました。
臨床試験を進める中で、1974年、中京病院小児科病棟のネフローゼ児が水痘を発症した際、感染拡大阻止のため、水痘ワクチンの緊急接種が行われました。感染が収まり接種者全員に免疫が得られたとの成績は、医学雑誌に報告されましたが、安全性の観点から米国で強い批判が起こりました。
その後の臨床研究や臨床試験の成績をもとに水痘ワクチンの有効性と安全性が世界的に認められるようになりました。
水痘ワクチンは、日本より先に海外で使われ始めました。

1984年、欧州8か国でハイリスク児に対する岡株水痘ワクチンの使用が世界で初めて承認されました。
日本では、1986年に水痘ワクチンが承認され、翌年から販売開始されました。その後、2014年には定期接種化されています。
2016年には、水痘ワクチンが50歳以上の帯状疱疹の予防に効能・効果があるとして承認されました。

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