高橋 理明


BIKEN85年の歴史のなかで、その誕生、成長の中心となり、日本の感染症予防の発展に貢献した4人の功績を紹介します。
Michiaki Takahashi1928-2013

世界で初めて水痘ワクチンの開発に成功
BIKEN財団 1984年~2013年 理事
主な研究業績/水痘ウイルスの分離
水痘ワクチンの開発 など
大阪大学医学部卒業後に同大学の微生物病研究所麻疹部門に入り、奥野良臣教授のもとで、麻疹ワクチンの開発やポリオウイルスの弱毒化研究に携わる。幼い息子が水痘に感染した際、苦しむ様子を見守るしかなかった経験を機に、水痘ワクチンの開発を決意。技術的な課題、安全性への懸念を乗り越え、日本発・世界初の水痘ワクチン(Oka株)を開発した。水痘ワクチンには、当初、国内外からの批判・議論があったが、着実な臨床データの積み上げと誠実な対応で、次第に多くの協力者を得る。1983年、世界保健機関(WHO)にて、Oka株は「水痘生ワクチンの製造に適した唯一の株」と認められ、世界に水痘ワクチンが普及することとなった。2016年には、日本国内において乾燥弱毒生水痘ワクチンに、50歳以上の者に対する帯状疱疹予防の効能効果が追加された。