山口 玄洞


BIKEN85年の歴史のなかで、その誕生、成長の中心となり、日本の感染症予防の発展に貢献した4人の功績を紹介します。
Gendo Yamaguchi1863-1937

BIKEN財団設立の支援者
主な業績/山口厚生病院設立、尾道市上水道の設置
その他、多数の教育機関、寺社への支援
16歳から大阪の反物店に勤める。真面目で正直な性格で、勤務先の店が閉店した時には、買い付けのために得意先から預かっていた大金をわざわざ京都まで返しに赴くほどであった。その人柄は顧客の信頼を集め、19歳で洋反物店を開業すると、みるみる事業は拡大し、若くして大阪でも指折りの実業家となった。銀行や大企業の重役を歴任するなど、財界で大いに活躍した一方で、自ら築いた財産を惜しみなく慈善事業に寄付したことでも有名で、たった一人で(現在の価値にして)200億円もの寄付を行い、「大正・昭和の寄付金王」と呼ばれた。これほどの寄付を行なった背景には、貧しい者には無償で治療を施し清貧を貫く仁医であった父の影響が大きかったとされる。
BIKEN設立のために寄付を行なったのは最晩年のことだったが、BIKEN財団と大阪帝国大学微生物研究所(現大阪大学微生物病研究所)あわせて25万円(現在の価値で約5億円)の寄付金は、その他への寄付と比べても高額なものの一つであった。