谷口 腆二
BIKEN85年の歴史のなかで、その誕生、成長の中心となり、日本の感染症予防の発展に貢献した4人の功績を紹介します。
Tenji Taniguchi1889-1961
BIKEN財団の初代理事長
主な研究業績/天然痘ウイルスの観察など
ウイルスの存在自体が定かでなかった1930年代に、その染色法を開発し、天然痘ウイルスの目視観察に成功。これを機に、数々の感染症について病原物質がウイルスであることを証明したほか、その培養方法も開発。BIKENをはじめ日本ウイルス学会の立ち上げなど、日本のウイルス学の進展に大きく寄与した。谷口博士はその熱血漢ぶりも有名で、一介の助手時代に大物教授相手に学術論争を繰り広げるなど、常に己の信念を貫き通す姿から「喧嘩谷口」の異名を持つほどだった。一方で、人材育成を重んじたことも事実で、その門下からは奥野良臣博士をはじめとした微生物学をリードした研究者が数多く輩出されている。
『努力の間こそ、人は苦しくも又、最も楽しい時だ。成し遂げられたときの姿を夢に描きつつ努力を重ねる。この夢を追う楽しみは研究者のもつ醍醐味である』と語り、未知の領域への挑戦を純粋に楽しむ、研究者ロマン溢れる熱い人柄が伺える。