日本における死因第一位の疾患である「がん」。日々高度化・専門化が進むがん医療で常に求められるのは「早期発見・早期診断・早期治療」。その有効な手段が、細胞診検査です。

検査事業ではこの細胞診の技術と学識を活かし、大阪大学大学院で実施されている文部科学省「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」に参画しています。その中で、当会職員が招聘教員として講座をサポートするとともに、細胞検査士の資格取得に必要な実践的な技術研修を当会内で行っています。

このように癌診断の担い手である細胞検査士の育成に貢献することで、未来のがん医療を支えます。

がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン:文部科学省

がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン

平成18年制定の「がん対策基本法」を受け、平成19年に文部科学省により、将来の日本のがん医療の向上とがん医療を担う医療人の養成促進を目的として策定された事業です。大阪大学グループでは近畿圏7大学による広域連携で行われており、その中には細胞検査士養成コースを擁して、育成に取り組んでいます。

がん医療における細胞検査士の役割

細胞検査士(CT)とは、癌の検査法の一つである細胞診検査を行う専門の資格を有する臨床検査技師のことで、癌診断の担い手です。そして細胞診検査とは、被験者から採取された細胞を固定、染色して顕微鏡で観察し、悪性細胞か否かを判定する検査法で、がんの診断と治療に応用されるきわめて重要な検査法です。癌細胞の形態は臓器により様々に異なり、また良性異型細胞との鑑別には多くの経験と知識が必要です。

当講座の受講生は、教室での講義および顕微鏡実習と共に実地習練として、阪大微生物病研究会の病理検査室で実際の臨床材料による細胞診の指導を、大阪大学大学院医学系研究科の招聘教員でもある現役の細胞検査士から受けます。細胞診はがんのスクリーニング検査としての役割と、生検組織診に匹敵する穿刺吸引細胞診、また治療への応用として術中細胞診や分子標的治療薬の応用と組織型など、現在では広い知識を持った細胞検査士が求められています。

細胞検査士には、異常な細胞をスクリーニングし、同定する(陽性/陰性の判別、また、がんの種類の特定)スキルが求められます。

大阪大学 大学院医学系研究科保健学専攻細胞検査高度診断コース
がん教育研究センター

南雲 サチ子特任教授

細胞診検査を行うには病理細胞診断学をはじめ高度な知識と技術が必要です。本コースは、分子病理学教室に設置され、分子生物学的分野の研究とともに、癌診断の担い手である細胞検査士を養成しています。がんの診断と治療に、近年開発された分子標的薬等の応用には、がんの組織型や細胞形態学的研究がますます重要になってきています。本コースでは、修士課程の研究と共に細胞検査士の資格取得に向けて日々頑張っています。