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次世代型ワクチンで、
人々の安らかで幸せな毎日を
守る

学生時代の研究内容

疾患を抑制する植物由来成分を探索

学生時代は農学部で食科学を学び、研究室に配属されてからは、食品の機能性について研究していました。食品には生命維持のための栄養機能(一次機能)、おいしさに関する感覚機能(二次機能)、健康維持や向上に関与する生体調節機能(三次機能)の3つの機能があります。これらの3つの機能のうち、三次機能である生体調節機能を活用するため、食品中の機能性成分を探索し、その作用機構を明らかにすることを目的として研究を行っていました。私は機能性成分の中でも疾患を抑制する植物由来の機能性RNAに着目し、探索を行っていました。

私の研究について

次世代型mRNAワクチンの開発に挑む

研究内容

私は「RNAベースのワクチン開発」に取り組んでいます。これまで日本で主に用いられていたワクチンは、生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドの3種類でした。しかしながら、新型コロナウイルスに対するワクチンとしてmRNAワクチンが世界中で使われるようになりました。mRNAワクチンでは、投与後に体内でmRNAにコードされた病原体タンパク質の一部が作られます。そのタンパク質に対して免疫が誘導されることにより、その病原体への感染症予防ができます。mRNAワクチンの利点は、開発に必要な期間がこれまでより大幅に短縮できることです。新たなパンデミックが起こった際に、迅速にワクチンを開発できるよう、BIKENにおいてもRNAベースワクチンの開発技術を習得し実用化させる必要があります。

私はRNAベースのワクチン開発の中でも、従来のmRNAワクチンに改良を加えた「次世代型」のmRNAワクチンの開発に取り組んでいます。現在用いられているmRNAワクチンは、発熱や接種した部分の腫れといった副反応の頻度が高く、改善の余地があります。次世代型mRNAワクチンの特徴は、現在使用されているmRNAワクチンと比較して投与量を少なくできる点であり、副反応の軽減が期待されています。私は、次世代型mRNAワクチンを用いて細胞内での発現効率の評価や投与方法の最適化を行っています。今後は実用化に向けたさらなる評価を検討していく予定です。

様々なバックグラウンドを持つ研究者と力を合わせて課題に立ち向かう

研究環境

私がBIKENの最も魅力的だと感じているところは、研究の事だけではなく、何でも困っているときに助け合える環境です。入会したばかりで右往左往している中、直属の先輩だけでなく様々な方が声をかけてくださり、助けてもらいました。また、様々なバックグラウンドを持った方と共に研究できる環境もBIKENの特徴です。自分だけでは解決できない問題も、各々が持つ専門知識を生かして解決に導くことができています。

今後の展望

パンデミックで実感した、ワクチンの「人々の安らかで幸せな生活を守る力」

私の目標は、「多くの人の健康を支え、幸せな生活に貢献する」ことです。そのために、BIKENにおいて人の命を守るワクチン開発に携わりたいと考えています。新型コロナウイルスが蔓延し始めたころ、多くの人が未知の感染症に怯え、社会には重苦しい雰囲気が漂っていました。しかしながら、ワクチンの普及に伴い社会に活気が戻り、現在では新型コロナウイルス蔓延以前の生活が戻りつつあります。このように、ワクチンは感染症から命を守るだけでなく、人々の安らかで幸せな生活を守る力があると考えています。そこで私は、日本発・世界初となるような画期的なワクチンの創出に貢献していきたいです。そのために、今は様々な分野の知識を身につけ、研究に活かしていきたいと考えています。