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ワクチンで予防できる主な感染症

監修:川崎医科大学 小児科学教授 中野貴司先生

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ワクチンで予防できる主な感染症を紹介します。

公益財団法人予防接種リサーチセンター 「予防接種と子どもの健康 2017年度版」から転載(一部改変)
【参考文献】
一般社団法人日本ワクチン産業協会、予防接種に関するQ&A集 2020・よぼうせっしゅのはなし 2020

 

インフルエンザ

感染経路
  • 飛沫感染、接触感染
症状
  • 発熱(38℃以上の高熱)悪寒、頭痛、筋肉痛などの全身症状が突然あらわれます。潜伏期は24~72時間です。呼吸器症状は遅れて出現することが多く、鼻閉、咽頭痛、せきなどです。合併症がなければ2~7日で治癒します。合併症、特に肺炎や脳症を併発した場合は重篤となります。
ワクチン
  • インフルエンザHAワクチン

流行する前に、13歳未満の人はおよそ2〜4週間の間隔をおいて2回、13歳以上の人は1回(または1~4週間隔で2回)接種します。また、定期接種の対象者は、①65歳以上の人、②60歳以上65歳未満の人で、心臓、腎臓、呼吸器などに重い病気のある人、などです。

水痘(水ぼうそう)・帯状疱疹

水痘(水ぼうそう)

感染経路
  • 空気感染、飛沫感染、接触感染
症状
  • 特徴的な発疹が主な症状でかゆみを伴います。発熱を伴うこともあります。発疹は斑点状の赤い丘疹から始まり、その後3~4日は水痘(水ぶくれ)となり、最後はかさぶたを残して治癒します。発疹はお腹や背中、顔などに多い傾向がありますが、頭部など髪の毛に覆われた部分にも現れるのが特徴です。
    通常1週間程度で治癒しますが、まれに脳炎や肺炎、肝機能の異常を伴うことがあります。
    詳細はみずぼうそう.jpをご参照ください。
ワクチン
  • 水痘ワクチン

定期接種では生後12ヵ月から生後36ヵ月に至るまでの水痘罹患歴のない人が対象です。標準的な接種期間は生後12ヵ月から15ヵ月に至るまでに1回目の接種を行い、その後3ヵ月以上間隔をあけ、標準的には6ヵ月から12ヵ月に至るまでの間隔をおいて2回目の接種を行います。

帯状疱疹

原因
  • 水痘が治った後も体に潜んでいた水痘・帯状疱疹ウイルスが、加齢、病気などで免疫が低下したときに再び活動を始め、帯状疱疹を引き起こします。
症状
  • 帯状の発疹、神経の痛み
    体の左右どちらかに、水ぶくれを伴う赤い発疹が、帯状に広がります。ピリピリ・ズキズキした強い痛みを伴うことが多く、症状は3~4週間ほど続きます。
    皮膚症状が治った後も、帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれる長期にわたる痛みが続くことがあります。
    詳細は帯状疱疹.jpをご参照ください。
ワクチン
  • 水痘ワクチン
  • 帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹予防として使用する場合は、50歳以上の方を対象とした任意接種です。ワクチンの種類により1回ないしは2回接種します。

*水痘ワクチンは生ワクチンの為、明らかに免疫機能に異常のある疾患を有する人及び免疫抑制をきたす治療を受けている人には接種できません。

麻疹(はしか)

感染経路
  • 空気感染、飛沫感染、接触感染
症状
  • 高熱、せき、鼻汁、めやに、発疹を主症状とします。発症後、最初の3~4日間38℃台程度の熱が続き、一時おさまりかけたかと思うと、また39~40℃の高熱と発疹が出ます。高熱は3~4日でおさまり、次第に発疹も消失しますが、しばらく色素沈着が残ります。発熱期間は計1週間程度になります。主な合併症として、気管支炎、肺炎、中耳炎、脳炎があります。患者100人中、中耳炎は約7~9人、肺炎は、1~6人に合併します。脳炎は、約1,000人に1~2人の割合で起こります。また、亜急性硬化性全脳炎(SSPE ※)という慢性に経過する脳炎が、約10万人に1~2人発生します。

※ subacute sclerosing panencephalitis

ワクチン
  • 麻しん風しん混合ワクチン(MR)
  • 麻しんワクチン

定期接種では、第1期:1歳児、第2期:小学校入学前1年間の小児に、原則麻しん風しん混合ワクチン(MR)を接種します。日本は、平成27年に麻疹の排除状態にあることが認定されていますが、その後も海外からの輸入例を発端として国内で集団発生事例が起こっています。国内での麻疹排除状態を保っていくためにも、引き続き高いワクチン接種率を維持することが重要です。海外渡航の前にはあらかじめ接種歴を確認し、2回受けていない場合又は接種歴が不明の場合には予防接種を受けることが勧められます。

風疹

感染経路
  • 飛沫感染、接触感染、母子感染(胎内感染)
症状
  • 発疹、発熱、リンパ節の腫脹などが主症状です。軽いかぜ症状で始まり、麻疹と似た発疹、発熱、後頸部リンパ節腫脹のほか、眼球結膜の充血が見られることがあります。発疹も熱も約3日間で治る場合も多いので、「3日ばしか」とも呼ばれます。合併症として、関節痛、血小板減少性紫斑病(※1)、脳炎などがあります。発症率としては、患者3,000人に1人が血小板減少性紫斑病に、6,000人に1人が脳炎になるといわれています。
    妊娠20週頃までの妊婦が風疹ウイルスに感染すると、出生児が先天性の心臓病、聴力障害、白内障、発育発達遅延などの症状を呈する先天性風疹症候群(CRS(※2))を発症する可能性が高いといわれています。

※1. 血小板減少性紫斑病:血小板減少を来たす他の明らかな病気や薬剤の服薬がなく血小板数が減少し、出血しやすくなる病気。
※2. CRS: Congenital Rubella Syndrome

ワクチン
  • 麻しん風しん混合ワクチン(MR)
  • 風しんワクチン

定期接種では、第1期:1歳児、第2期:小学校入学前1年間の小児に、原則として麻しん風しん混合ワクチン(MR)を接種します。風疹の報告数は近年急激に減少していますが、平成32年度までに排除達成を目標として、定期予防接種に対する積極的な接種勧奨を行うとともに、妊娠可能女性とその家族への予防接種の推奨、また産褥(さんじょく)女性に対する風疹予防に関する啓発活動が行われています。さらに、2022年3月31日までの時限的な措置として、昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までの間に生まれた男性を対象とした風しん第5期定期接種が実施されています。

日本脳炎

感染経路
  • 日本脳炎ウイルスを保有する蚊に刺されることにより感染
症状
  • 7~10日の潜伏期間の後、高熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどの症状を示す急性脳炎になることがあります。ヒトからヒトへの感染はありません。日本脳炎ウイルスに感染したヒトのうち、100~1,000人に1人程度が脳炎等を発症します。脳炎のほか髄膜炎や夏かぜ様症状で終わる人もいます。脳炎にかかった時の致命率は約20~40%ですが、治った後に神経の後遺症を残す人が多くいます。
ワクチン
  • 日本脳炎ワクチン

定期接種における1期の対象年齢は生後6~90ヵ月ですが、標準的には3歳児に6日から28日までの間隔で2回、翌年4歳児に1回追加接種します。2期の対象年齢は9歳以上13歳未満で、標準的には9歳児に1回追加接種を行います。日本脳炎ワクチンは、平成17年度から21年度まで一時積極的な勧奨が控えられました。その間に定期接種対象年齢であった方で計4回の接種が完了していない方は、特例対象者※に該当しますので、特例対象の間に不足分の接種が可能です。

※ 平成7年4月2日~平成19年4月1日生まれの方:20歳になるまでの間に、4回の接種のうち不足分を定期として接種可能。平成19年4月2日~平成21年10月1日生まれの方:9~13歳未満の間に、1期(3回)の不足分を定期として接種可能

ポリオ

感染経路
  • 感染したヒトの便から経口感染
症状
  • 「小児まひ」とも呼ばれ、日本でも1960年代前半まで流行を繰り返していました。ポリオウイルスに感染しても、ほとんどの場合は症状が出ず、一生抵抗力(終生免疫)が得られます。症状が出る場合、ウイルスが血液を介して脳・脊髄へ感染が広まり、麻痺を起こすことがあります。ポリオウイルスに感染すると100人中5~10人は、かぜのような症状が起こり、発熱、続いて頭痛、嘔吐等があらわれます。感染したヒトの中で、約1,000~2,000人に1人の割合で四肢などの麻痺を起こします。
ワクチン
  • 百日せきジフテリア破傷風ポリオ4種混合ワクチン(DPT-IPV)
  • 不活化ポリオワクチン

乳幼児はDPT-IPV(場合によっては不活化ポリオワクチン)でポリオに対する免疫をつけることができます。定期接種の対象年齢は、生後2~90ヵ月ですが、標準的には生後2ヵ月から12ヵ月までに3週間以上の間隔で3回接種します。その後6ヵ月以上の間隔を空け、標準的には3回目終了後12ヵ月から18ヵ月までに1回追加接種します。

百日咳

感染経路
  • 飛沫感染、接触感染
症状
  • 百日咳はかぜのような症状から始まります。続いてせきがひどくなり、顔をまっ赤にして連続的にせき込むようになります。せきのあとに急に息を吸い込むので、笛を吹くような音がでます。熱は通常出ません。乳幼児はせきで呼吸ができず、くちびるが青くなったり(チアノーゼ)けいれんが起きるあるいは突然呼吸が止まってしまうことなどがあります。肺炎や脳症などの重い合併症を起こしやすく、新生児や乳児では命を落とすこともあります。患者数は減少してきていますが、最近、長びくせきを特徴とする思春期、成人の百日咳がみられ、乳幼児への感染源となり、特に新生児・乳児が重症化することがあるので注意が必要です。
ワクチン
  • 百日せきジフテリア破傷風ポリオ4種混合ワクチン(DPT-IPV)

乳幼児はDPT-IPVで百日咳に対する免疫をつけることができます。定期接種の対象年齢は、生後2~90ヵ月ですが、標準的には生後2ヵ月から12ヵ月までに3週間以上の間隔で3回接種します。その後6ヵ月以上の間隔を空け、標準的には3回目終了後12ヵ月から18ヵ月までに1回追加接種します。

破傷風

感染経路
  • 傷口からの破傷風菌の侵入
症状
  • 破傷風菌が体の中で増えると、菌が出す毒素によって、筋肉の強直性けいれんを起こします。発症早期には、口が開かなくなるなどの症状があらわれ、その後、全身性の強直性けいれんを起こすようになり、治療が遅れると死に到ることもあります。患者の半数は本人や周りの人では気が付かない程度の軽い刺し傷が原因です。
ワクチン
  • 百日せきジフテリア破傷風ポリオ4種混合ワクチン(DPT-IPV)
  • ジフテリア破傷風2種混合トキソイド(DT)
  • 破傷風トキソイド

乳幼児はDPT-IPVで破傷風に対する免疫をつけることができます。定期接種の対象年齢は、生後2~90ヵ月ですが、標準的には生後2ヵ月から12ヵ月までに3週間以上の間隔で3回接種します(DPT-IPVの場合)。その後6ヵ月以上の間隔を空け、標準的には3回目終了後12ヵ月から18ヵ月までに1回接種します。また、追加接種として、DTを11歳から12歳のときに接種します。標準的には、11歳に達した時から12歳に至るまでに1回接種します。
ワクチンを受けていない場合やワクチンを受けてから10年以上経過した時にけがをした場合は、破傷風の発症予防として破傷風トキソイド接種することがあります。なお、外傷後の破傷風発症予防に破傷風トキソイドを使用する場合は健康保険適用となります。

ジフテリア

感染経路
  • 飛沫感染
症状
  • 感染は主にのどですが、鼻にも感染します。感染しても10%程度の人に症状が出るだけで、残りの人は症状が出ない保菌者となり、その人を通じて感染することもあります。症状は高熱、のどの痛み、犬が吠えるようなせき、嘔吐などで、気道に偽膜と呼ばれる膜ができて窒息死することもあります。発症から2~3週間後に、菌の出す毒素によって心筋障害や神経麻痺を起こすことがあります。
ワクチン
  • 百日せきジフテリア破傷風ポリオ4種混合ワクチン(DPT-IPV)
  • ジフテリア破傷風2種混合トキソイド(DT)
  • ジフテリアトキソイド

乳幼児はDPT-IPVでジフテリアに対する免疫をつけることができます。定期接種の対象年齢は、生後2~90ヵ月ですが、標準的には生後2ヵ月から12ヵ月までに3週間以上の間隔で3回接種します(DPT-IPVの場合)。その後6ヵ月以上の間隔を空け、標準的には3回目終了後12ヵ月から18ヵ月までに1回接種します。また、追加接種として、DTを11歳から12歳のときに接種します。標準的には、11歳に達した時から12歳に至るまでに1回接種します。