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研究室
2025/12/08
第29回日本ワクチン学会第66回日本臨床ウイルス学会合同学術集会において、若手奨励賞最優秀賞受賞~国内初のチクングニヤ熱ワクチンの開発に向けて~
2025年9月27-28日に開催された第29回日本ワクチン学会第66回日本臨床ウイルス学会合同学術集会において、合同学術集会若手奨励賞※1最優秀賞を土井 理恵さん(BIKEN次世代ワクチン協働研究所 ウイルスワクチングループ/研究開発部 探索研究課)が受賞しました。
研究テーマは、新規生ワクチン候補としての3塩基欠失チクングニヤウイルスの機能解析です。
「ウイルスゲノム内で欠失変異導入可能な位置を網羅的に解析する方法はこれまでありませんでした。本研究では、トランスポゾン※2を用い、チクングニヤウイルスゲノムのランダムな位置に、一か所の3塩基欠失変異を導入する技術を確立しました。この技術を用いて3塩基欠失変異を有するウイルスライブラリを作製し、チクングニヤウイルスゲノムにおいて3塩基欠失を許容する領域を明らかにしました。また、このウイルスライブラリの中には弱毒化した欠失変異ウイルスが数多く含まれることを明らかにしました。この一連の戦略は様々なウイルスに対する新規弱毒生ワクチン開発のプラットフォームとなると期待しています。」と土井さん。
「今回、最優秀賞をいただいたからには、チクングニヤ熱ワクチンの開発を進めていきたいと志を新たにしました。」
※1合同学術集会において若手の優れた一般演題の発表に贈られる賞。
※2ゲノム内を移動できる DNA の断片のこと。遺伝子工学では、この移動性を利用して外部遺伝子導入や変異誘発などが行われます 。